終身雇用制度とローンは人を会社に縛り付けて奴隷化する為に最適化された素晴らしいシステム。考えた奴は天才だな。

戦後、日本の経済は発展し続けた。
 
企業側は労働力を確保する為に、安心して働けるようにということで終身雇用制度を採った。
労働側はよほどのことがない限り、解雇されたりは無いので確かに安心して働くことができる。
その為将来設計も立てやすい。
何歳で結婚して、家を買って、子供を作って、定年を迎えて等。
 
ラジオやテレビのマスコミュニケーションも発達し、国を上げて、民衆に結婚式で大金を使い、車を買い、家を買うことこそが正しい幸せになる方法だと洗脳した。
大戦中の物資が無い貧しさとのギャップから、物がある生活は確かに豊かで幸せに感じられただろう。
右へ倣えの国民性の日本人、即その価値観を受け入れた。
 
ただ企業が倒産する不安があるとこの終身雇用制度は成り立たない。しかし、時は高度経済成長時代。会社が潰れるなんてことはあり得なかったので、人々は安心して会社に依存することができた。
 
会社は従業員に給料を払い将来の安心まで担保する。その代わり従業員はしっかりと働くという関係が成り立っていた。
 
効率的に従業員を確保し教育を行うため、新卒一括採用というシステムも採られるようになった。
 
同じ教育や研修を受けたということで共同体意識を芽生えさえ、さらに会社の価値観にコミットさせることができる素晴らしいシステムだ。
 
会社はハズレを引いても簡単にはクビにすることはできないけれど(それは終身雇用の信頼を根本から覆す危険性がある)、国全体の経済が成長してるので、多少身重になっても、終身雇用システムを維持できなくなる危険を犯すことを選択はしなかった。
幸い日本は、世界でも群を抜いて識字率が高く、教育への意識も高かった為、ハズレと思われるような社員でも、時間をかけて教育すれば最低限の仕事はできるようになった。
 
会社に入って働いて、モノを買い、物が売れるからますます会社は大きくなる。
何て素晴らしい永久機関
 
ここでさらに次の仕組みが登場する。ローンだ。
 
マイホームを買うことがサラリーマンの夢だということを民衆に洗脳する。
さすがに家は現金一括では買えないけれど、あなたはしっかりした会社に勤めてる立派な人なので、信用できるので分割払いにしてあげましょうということでローンを組んで家を買う。
これで会社を辞めることができずずっと働き続けなければいけないことが決定する。
経済成長はまだまだ続いていたので、労働力を確保し続ける為のアイデアだ。
 
このシステムの凄いところはまだある。
新卒で採用することによって、他の会社のことを知らないままにさせることができるのだ。
自社に不満があっても、他の会社の状況が分からず、他社で自分が通用するのかどうか、やっていけるのかどうかが不安な為、転職など夢にも考えないようになる。
 
このシステムにより、企業は従順で勤勉な奴隷を安定的に確保することができる。
しかも奴隷側は車や海外への旅行という目の前の餌に夢中になり、実は鎖でがんじ絡めになっているのにも関わらず奴隷の境遇に幸せさえ感じている。
もちろん田舎から都会へ出て家族と離れて暮らしている不幸には、餌に夢中で気付かない。
 
なんともよく出来たシステムである。
成長は必ずいずれ鈍化するということを除けば。