アニメ業界の問題。アニメーターになりたいと思ってる人へ

 

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せっかくなので、SHIROBAKOにあやかって、アニメ業界ネタを書いてみる。
 
アニメ業界はブラック企業どころか、業界自体がブラックと言われて久しいですww
 
業界のシステム自体にももちろん問題はありますが、僕としては中の人自身の問題も大きいと考えています。
今回は、その中の人の問題の1つについて書いてみます。

アニメ業界にはロクな人材が入ってこない

まず高校時代にアニメ専門学校に行って、アニメ業界に入りたいとか言ってるやつは高確率でロクでもないです。
大学へ行ってまで勉強を続けたくないとか、単にアニメが好きだからとか、まあそういうタイプです。
中にはバリバリ絵を描いたり、ちゃんと情報を調べて戦略的に、バイトしてお金を貯めたりという人もいますが大半の人はそうじゃない。
そんな感じで専門学校へ行っても、専門学校は即戦力的な技術を教えてくれる訳では無いです。ちゃんと学ぶ気があれば、技術は身に付くでしょうけど、モラトリアム的な気分で行った生徒が自主的に技術を高める訳はなく、言われた課題をイヤイヤこなすだけです。
一応説明しておきますが、今の時代大学へ行った人間が偉いと思ってる訳ではないです。大学へ行った人間だって大抵モラトリアム的な遊び気分で行ってます。
ただ、専門学校は別で美容師なんかは学校ではガチで技術を叩きこまれます。しかしアニメ系の専門ではとりあえず課題さえこなせば卒業できてしまいます。
多くのアニメ会社は、常に人手が足りないのでそういう卒業生でも会社に入れてしまいます。アニメーターとして画力が足りないけど、仕上げとしてなら入れてみるかというのがままあります。
そもそもやる気のある人は自分で勝手にアニメ作ったりするので、専門学校的にもやる気の無い子に対して時間をかけて技術を身に付けさせるというようなことはしないです。
さて、まあそういう事情も背景にあると頭の片隅にでも入れておいて下さい。

実はアニメーターはみんな絵が上手い訳ではないんです

確かに上手い人は超絶上手いですが、そうじゃない人の方が圧倒的に多いです。
例えば、
・パースがおかしい
・キャラのプロポーションがおかしい
・動きがおかしい
とか、アニメーターとして基本的に押さえてないといけない技術が無い人が多いです。
それでも手が足りないからということで、そういう人にも仕事が発注され続け、演出と作監が一生懸命修正するということが日常になっています。
なんでこんなことが起きるかというと、技術的に明確な基準が無く常に見切り発車で上のセクションへ上げてしまうからです。
動画の本番に入れない研修生でも、手が足りなければ試しに動画を描かせるし、動画マンでも原画を描かせてみたりということが常にあるのです。
それで一回でも描けば、原画マンです。次からは経験は浅いですが原画を描いたことがありますと大手を振って言える訳です。
教育システムがしっかりしてる会社であれば、ちゃんと教えてくれるのかも知れませんが、そんなものは基本的に無いので自己流で原画を描き続け、演出作監からはリテイクに出したいけど、時間も無いしそもそもリテイク出して直る保証もないので、修正して使うということが起きる訳です。本人は自分の原画が通用したと思ったままです。多少のコメントはもらえるかも知れませんが、そういう親切な演出さんばかりでも無いです。
次からこの人には原画仕事を出さないでと制作に指示したところで、人手が足りなければ制作は出してしまいます。
と、いう風に技術が無くても仕事があるという歪な状況がアニメ業界では続いているのです。
 
演出は本来、原画が演出意図に則って描かれているかどうかをチェックするセクションのはずですが、ここ数年は本来の仕事に加え、そもそものパースや動きがおかしい絵を直すということも行っています。
作監も元の原画が上手ければ、キャラの顔や衣装を整えるだけで済むのが、絵が使えないから全部書き直したりしてる訳です。
そりゃそんなことをしてたら、効率も悪くなるしどんだけ時間があっても足りなくなるってなもんです。
 
しかも使えない原画にもちゃんとギャラは支払われるんです。
1カット大体4000円ですが、上手い原画も下手な原画も同じ金額なんです。
その後の工程の手間が全然違うのにも関わらず、業界の慣習的に同じ単価なんですよね。

社会人不適合な人も・・・

SHIROBAKOにも出てきた、自転車が趣味っぽいアニメーター。佐々木さんだっけ?
明らかに普通の社会人だったら、即クビだろうって人がいるんです。
金銭のやり取りが発生する仕事として請けた以上は、気分が乗らないとかいう理由で納期を勝手に遅らせることなく仕事をするべきですが、残念ながらそれをやらない人が一定数いるのです。

アニメーターになりたいと思ってる人へ

ということを踏まえて、アニメーターになりたいと思ってる人へ。
アニメーターになる為に何をしたらいいかをお伝えしてみます。
 
毎日絵を描きましょう。
お酒を飲んだり、嫌なことがあったり、絵を描く気分にならない日でも、描くということを習慣にしましょう。
プロとして仕事として請けた以上は、やる気とか関係なく一定以上の水準で納期内に納品しなければなりません。
その為にも毎日規則正しい生活を送って、決められた作業をするという習慣を早いうちから身に付けましょう。
というかこんなの社会人なら当たり前の話です。
なんで、こんなことが出来ない人がアニメ業界には多いのかというと多分クリエイターを気取って、気分で仕事をするのがカッコイイとか思ってるんでしょう。
 
アニメ制作は実はクリエイティブでは無い作業の方が多いです。
原画を描くのも、キャラ表があって、絵コンテがあって、演出から芝居の指示がある。
クリエイティブな部分がどこにある?って話です。
それをクリエイティブと言うのなら、事務仕事で書類を作るのだって十分クリエイティブな仕事です。
もちろん、正しいパースで正しいプロポーションで指示通りの芝居の上にプラスαで、何かを上乗せするというのはクリエイティブなことでしょうが、その為に気分が乗らないからといって、作業を止めるよりは指示通りの作業をして、上がりを出すべきな訳です。
 
つまりアニメーターを仕事とするなら、気分とか関係なく毎日コンスタントに絵を描かなければいけない訳です。まずはそれをやってみることで、自分が本当にそれを仕事としてやってみたかったのかどうなのかが分かると思います。
本当はアニメーターに対する憧れだけだったってことは大いにあり得るもんです。
アニメに限らず、どんな仕事でもそうだと思うけどね。