「個人」と「社会」の断絶が今の世の中の大きな問題の1つ

ここのところ、良い世の中、悪い世の中について考えてみた。
 
で、今の日本は悪い方向に向かってると思う。
東京一極集中がその大きな理由。
 
「社会」がキーワード
 
結局世の中が悪くなるのって、みんなが「社会」の中で生きていると意識していないからだと思う。
意識しないような仕組みにもなってしまっている。
 
今は社会と繋がっているという意識が非常に薄い。
 
今都会で暮らす若い人達。
その親世代も地元から出て、都会に出てきてたりする。
親子3人とかの核家族。
 
地域的な結びつきなんかももちろん無い。
隣の人の顔や家族構成を知らないなんてザラ。
 
例えば、悪いことをしたところで法律的な罰は受けるかもしれないけれど、社会からはみ出されるということはほとんど無い。
仕事をする上でも履歴書なんてごまかせる訳だし、引っ越してしまえば噂もないので職にも就ける。
 
これが田舎だったら、村八分にされる恐れがある。
村八分にされると生きていけないので、悪いことをしないように気を使う。
これこそが自分が所属する共同体つまり「社会」を意識するということ。
 
要は今の世の中で、都会で暮らしていると村八分にされることがない。
 
生活の場だって、電車乗って通勤や通学をしていると、地域的な繋がりはない。
 
昔の地域社会って、困ったことがあったら地域の人が助けてくれるし、悪いことをしたら怒られる。
仕事がなければ紹介もしてくれる。
それって地域単位で考えてるから。
例え個人の問題だとしても、それが他の人にも影響したりして、結局地域全体での問題になってしまうことがある。
 
子供の商店での万引きにしても、万引きができる店というイメージがついてしまえば、他の子供も万引きをしにくるだろう。
それでその商店が潰れてしまったら、利用しているみんなが困ることになる。
 
だからそうならないように、悪く言えば見張ってると言えるかもしれないけど、良く言えばお互いに目をかけてくれている社会。
その中には教育、職、セーフティネットとといったものが全部揃ってる。
また、そこでは個人個人を、◯◯さんの息子の◯◯くんといったようにちゃんと名前で見てくれる。
 
都会だとお店で買物をしたところで、その店の店員さんという認識だけど、地方では◯◯さんちの息子さんとか、異常に情報が知られていたりする。
 
他にも都会だと◯◯社の営業の人とか、◯◯大学卒業のエリートさんとか、役職や記号、レッテル等で個人を認識される。
人間的な付き合いが追いやられていって、個人の機能のみしかみられない。
 
地方というか、ある程度小さな社会では、個人を個人として見てくれるので、アイデンティティを実感できる。
 
「社会」の中でこそ「個人」を認識できるということ。
そして「社会」と「個人」は密接に繋がっている。
 
今は小さな地域社会ではなく、規模が大きくなって、世の中のいろんなことがシステマティックになっている。
教育は学校というシステム。
悪いことをしたら、司法というシステム。
セーフティネットも役所というシステム。
 
その中には個人の繋がりは無い。
地方なら役所の人とかも知り合いだったりするかも知れないけど、都会だと赤の他人。
 
個々人が社会と繋がっていると思えないと、その社会の為に何かをしようなんて思わないでしょ。
だって自分には関係ないんだから。
そういう人が増えると社会は豊かさを失うよね。
 
今の社会はSNSが新しい繋がりを作ってると言われている。
僕の好きな『サマーウォーズ』は、まさにその新しい繋がりを題材にした作品だった。
サマーウォーズ [DVD]
 
そりゃさ、SNSも流行るよ。
 
◯◯大卒。
収入。
仕事。
社会的地位。
趣味。
 
みんながお互いを個人としてではなく、そういう属性とかでしか見てないんだもん。
ゲームのパラメータみたいなもんだよね。
 
SNSの書き込みは、みんなの「もっと僕を見て。僕はここにいるよ」っていう悲痛な叫びにすら見えるよね。
 
とか考えてるとなんかhideのtell meを思い出した。僕の好きな曲。
 

TELL ME

 
若い子のリスカなんかも、自分が生きているのを実感したいというのがあるらしい。
注目を浴びたいという理由もあるらしいけど、本質のところは注目ではなく自分を自分として認識して欲しいということなんじゃないかな。
 
石坂啓の漫画で、主人公が周囲の人が仮面を被ってるようにしか見えないというのがあった。
確かビッグコミックスで昔連載されていた作品。
ストーリーの詳細は覚えてないけど、登場人物がみんな仮面を被って描かれているのはなかなかにインパクトがあって今も覚えている。
ググったら『アイムホーム』という作品名で、ドラマ化もされてるみたい。
他人を記号と認識してるから仮面ということではないみたいww
僕はあんまり石坂啓に対して良いイメージがないんだけど、政治的な活動のせいだろうな。
 
バブルの頃のフリーターを新しい生き方だともてはやしたり、社会に囚われない自由な生き方とかを進めたせいで、皮肉にも個人のアイデンティティを意識できないという問題が起きてしまっている。
 
「社会」を意識できないと「個人」も意識できないということ。
 
甘みを強調する為にスイカに塩を振るのと多分同じ。
相反するからこそ、お互いが強調され認識される。
 
だからもっと「社会」と「個人」を繋げる仕組みや機構が必要だと思う。
 
そこでアニメですよ。
 
最近の地方を題材にしたアニメは、そういう意味でいい線いってると思う。
花咲くいろはとかヤマノススメとか。
 
それを、もっと若い子だけじゃなくて50代以降も楽しめるような作品でできれば、アニメの価値が今以上のものになるんじゃないかと思う。
政治的な色を付けるというのではなくね。
今の萌えと俺TUEE系と魔王と勇者のファンタジーに偏ったものだけでなく、社会的にも価値のある作品を増やしてもいいんじゃないかと思う訳です。
それこそがアニメ業界を良くする方法なんじゃないでしょうかね。

 

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