SHIROBAKOに出てくるようなアニメーターは本当にいる。そんなのを許すような甘えた環境は脱却した方がいいんじゃない?

SHIROBAKOが面白い。

 
結構リアルにアニメ業界のことを描きながら、作品としても面白く作ってる。
このバランス感覚はかなり大したものだと思う。
 
個人の内面にあまり深く踏み込まないっていうのもあるんだろうな。
テンポ良くストーリーを進めるとか、明るい色味にするとかいろいろポイントがあるんだろう。
 
漫画だけど、アニメがお仕事!もリアルにアニメ業界を描いてたけど、かなりドロドロしてて読むのが辛かったもんね。 
アニメがお仕事! 7 (ヤングキングコミックス)

アニメがお仕事! 7 (ヤングキングコミックス)

 

 

コメディタッチにしてないからなのか。
春原のも体験談で大概キツイと思うけど、ポップな絵柄でコメディっぽく描いてるから悲壮感は感じない。
むしろアニメ業界楽しそうとすら思えてくるもんね。 
アニメ95.2

アニメ95.2

 

 

その辺を考えると、やっぱりSHIROBAKOが一番バランスが取れていて、幅広い人に楽しんでもらえるような作りになってるね。

 
 
SHIROBAKOに出てくるようなアニメーターが本当にいるのか?
 
みゃーもりもタローも、メンタル面だったり能力だったり若干ファンタジーが入ってるんだよね。
 
普通みゃーもりみたいなポジションに立たされて、精神を病むことなく仕事をこなせてるってまずないからね。
 
タローもあの精神の強さはありえない。
 
て考えるとやっぱり平岡が一番リアルで、制作陣が一番描きたかったキャラなんだろうなって気がする。
 
ツイッターとかでも業界人は平岡よりっぽいし。
 
多分最終話では平岡が救われる(22話でもタローに救われてるけど)んだろうけど、もしかしたらあり得た自分、現在進行形の自分、そうじゃなくても心の奥では考えていた黒い部分、ていうのを平岡に投射してて、平岡が救われることで作ってる人達も救われたいっていうのがあるのかも。
 
さて、22話の平岡の回想に出てきたようなアニメーターが本当にいるのかというと、似たような人はいる。
 
さすがに怒鳴りちらすような人はあまりいないけど(いない訳ではないw)、スケジュールとか単価とかクオリティにいちゃもんつけて、ちゃんと仕事をしないような人。
仕事上の取引にも関わらず、社会人としての口の聞き方を知らない・できない・しない人。
 
もちろん発注する制作側にも問題はあるけれど、アニメーター側にも問題がある人が多いのは事実。
 
なんでそうなってしまうのかを考えてみた。
 
まず、アニメーターってだけでどれだけ下手でも業界ではもてはやされます。
制作からはリップサービスの場合も多々ありますが(使えないレベルだったら次から発注しないだけw)、それでも「◯◯さん、仕事をお願いします」と言われていたら実力以上に意識が肥大してしまうことは十分考えられます。
 
アニメ業界は常にアニメーターが不足していて、ちょっとでも原画が描けるようになったら、いろんな会社から仕事の依頼が発生してしまうという構造がずっと続いています。
 
アニメ自体はテレビで放映されるし、最近はメディアミックスでいろんな媒体で展開されて、アニメが社会に影響を及ぼしていて、そのアニメを描いてる自分は偉いんだと錯覚するということもあるでしょう。
 
実際アニメがそれほどのものかというと、全然そんなことないです。
アニメ業界に来るような人間の「社会」なんて狭いもんです。
本屋、アニメイト、アキバ、ビッグサイト、ネットで見るページだって、2chかそのまとめ、それもアニメや漫画やゲームに偏ってる訳です。
あとはギガジンとかのIT・ガジェット系サイトぐらい。
 
社会経験だって大してある訳じゃない。
アニメ専門学校行って、働いた経験と言えばバイトぐらい、卒業したらアニメ会社に入ってアニメーターをやっているぐらいなものです。
 
ちなみにフリーで、特に自宅作業のアニメーターは他人と接することがほぼありません。
会話するのは制作のみということにも十分なり得ます。
 
つまりアニメを中心にした人生を送っていて、社会全体でアニメがどういう風に見られているか客観的に考えられていないのです。
その、狭いけども自分が凄いと思っている世界の中で、もてはやされるんだからそりゃ自意識が大きくなります。
 
しかし、実際にはギャラは安いし待遇も悪いです。
 
1カット4000円が基本というのはもはや有名だと思いますが、正直まともにやれば4000円の仕事じゃないです。
 
仮に時給1000円だとして(技術職としてはありえない金額ですが)、4時間で終わる仕事ではないです。
 
給料が安いと名高い動画マンから、原画に昇格しても時給換算すれば600円700円という人も多いでしょう。
 
24時間制作からは追っかけや依頼の連絡はくるし、休日もあってないようなものだし、35歳とかになっても収入は変わらないし、年々絵の密度が高くなって、より大変になってきてるし、たまに親戚の冠婚葬祭とかで地元に帰ると、他の普通にサラリーマンやってて、家族がとか車のローンがとか言ってるのを聞いて、ギャップを感じてアニメーターという仕事を続けることに疑問を持つ訳ですよ。
 
かと言って、他の業界で働けるだけの根性も能力も無いんです。
 
だって、ずっと社会と接することなくアニメしか描いてない上に、それを通勤も無く自宅で、定時も無く言わばダラダラとやってた訳ですよ。
 
電車乗って会社行って、人と会って、決められた時間に一定量の仕事を毎日要求されるとか、そんなのムリでしょうwww
 
アニメーターでいることに悩みつつも、業界内では重宝されるし、実際にそれで食べて生活をしてきたという自負もある訳です。
 
それらのことが重なり合って、非常に精神的にアンバランスというか歪んでるというかアダルトチルドレンというか、社会不適合者になってしまっているんじゃないでしょうか。
 
一応書いておきますが、別に僕はアニメーターに恨みがあるとかは一切無いですよ?www
 
 
アニメの仕事は別に特別なことではなく、レジを打つのと同じ単なる仕事
 
なんか、多くの人がアニメ制作を特別視してるような気がする。
 
僕もだけど。
 
でも、まずはその特別視を止めることが健全な業界への第一歩じゃないですかね。
 
クリエイターだから、とかっていうのが全ての免罪符になってしまっている。
 
スケジュールを伸ばすのも仕事をしないのも全てにおいて。
 
気分によって仕事をしないとか、そういうのを止めにして、代わりに決められた時間で決められたクオリティで決められた分量の作業を終わらせて仕事に見合った分の給料を貰う。
 
そして出来た余暇には友達と遊びに行ったり、家族サービスをしたり、スキルアップの為に勉強したり。
余暇での経験を仕事に活かしたり、ストレスが発散出来たことで仕事に向かう意欲を持てる。
 
そういうのが大事なんじゃないですかね?
 
他のどんな業種だってそうでしょ。
何でアニメ業界だけがそれが出来ないの?
 
結局趣味の延長上でしかないから、「仕事」になりきらないんだよ。
「仕事」にするとストレスも発生するもんね。
 
納期を守るのも、要求されるクオリティを維持するのも、これまでのぬるま湯と比べると大変だもの。
 
業界全体がピーターパンシンドロームのようなもの。
 
そろそろネバーランドから出て、「仕事」としなければいけない時期なんじゃないですかね?