日本のアニメ業界がブラックなのは、それだけの価値しかないから

SHIROBAKO 第8巻 (初回生産限定版) [Blu-ray]

Shirobako終わりましたね。

 
アニメ業界を、リアルとフィクションを絶妙なバランスで織り交ぜつつ、お仕事アニメとしても面白くできてた傑作でした。
 
この作品を見て、もしアニメ業界に入ろうと思う人がいたら、やめとくことをオススメしますwww
 
さて、アニメ業界といえばブラックで名高い業界です。
 
長時間労働、休みがない、給料も安いなどなど、ちょっと検索すればその手の情報がわんさかと出てきます。
 
それが何でなのかとずっと考えてたけど、ブラックになる原因とは結局は日本のアニメ業界の価値がその程度しかないからに他なりません。
 
アニメ業界だけじゃなくて、他のどんな業界も同じだと思いますが。
 
業界全体としてと、個人レベルの両方でみていきます。
 
全体としての日本のアニメ業界の価値の低さ
 
4月の新番組もぼちぼち始まってくるところです。
 
ちょっと新アニメの一覧をみてみましょう。
 

www.kansou.me

 
美少女、腐女子向けがやっぱり多いですね。
 
個別の作品単位ではもちろん面白いものもあります。
 
僕も美少女系作品が嫌いな訳ではなく、むしろ好きです。
 
ちなみに今期楽しみにしてるのは、血界戦線とFateとユーフォニアムとニンジャスレイヤー。

やっぱ作画は良くてナンボです。

京アニは女の子が可愛くて良いよね。
血界戦線も、さすがはボンズだけあって作画スタッフは鉄壁の布陣だし、そこに監督を新進の松本理恵を起用するあたり考えられてる。
若いセンスと安定の作画って、見る方としては超楽しみ。
 
というのはアニメが好きの人の感想で、普通の人は好きな漫画がアニメになるからちょっと見てみよう程度でしょ。
監督とかキャラデとかシナリオが誰かなんか一切気にしない。
それが普通です。
 
そういう中で、「アニメ作品」として価値のあるものを作っていかないと、アニメ業界全体の価値が下がっていってしまう。
 
実際これらのアニメ新番組を全部ひっくるめたところで、社会的な価値が高いとは決して言えないでしょ。
 
何をもってして価値があるとするのかはいろんな定義があると思うので難しいところだけど、まずはどれだけ多くの人がその作品を欲しているかということを基準に考えます。
 
需要がどれだけあるかということ。
 
例えば、ナウシカはエンターテイメントとしても優れていただけじゃなくて、環境破壊へのアンチテーゼ的なメッセージがあった訳ですよ。
その良し悪しや好き嫌いは別としても、社会として時代背景もありそのメッセージ性に需要があったからこそ何年も残る名作とされている訳です。
 
エヴァだって若い人たちの、他人と接するのが怖い、自分の殻にこもる、それまでに無かった父子の関係というのを時代に合わせて描いたという面がある訳ですよ。
そういう面があるからこそ、多くの人に受け入れられました。
映像や演出が斬新で面白かったということももちろんあるでしょう。
むしろとっかかりは映像の方だったかも知れないけれど、それだけだったら放映後も話題になることはなかったと思います。
 
それが今の作品は、過激なシーンや設定を消費するだけで、世の中に対しての価値を提供できているとは到底言えない。
 
10~30代ぐらいの、もともとアニメが好きな人にしか向けて作ってないから当然なんでしょうけど。
 
それは自分たちの首を絞めてるだけでしょ。
 
アニメ業界は自分たちで価値を貶めている
 
より多くの人から必要とされないと価値は高まらないのに、今の日本のアニメ業界はその反対のことしかしていない。
 
少数のアニメファンに向けた作品ばかり作ってて、その方向では進化してるのかも知れないけど、一般のアニメと言えばジブリとちびまる子ちゃんみたいな人からはどんんどん乖離してしまっている。
 
例えば絵柄。特に萌え絵と言われるやつね。
一般の人、特に子供をもっててあまりアニメを見てなかったような世代が受け入れられる訳が無いでしょ。
性的な理想と欲望だけを凝縮して洗練させた絵柄ですよ。
仮に好きになっても、あまりおおっぴらに好きと言えるものではないよね。
 
作品の種類も似たようなものばかりになってる。
ターゲットが同じなんだから仕方ないことかも知れないけれど。
 
一番基本的な価値は希少性。
数が少ないほど価値は高まる訳です。
それが似たような作品が毎クール大量に作られてるんだから、そりゃ価値も下がるよね。
ここ数年でどれだけの美少女とのハーレム作品が作られてきたことかwww
最近なら、俺TUEE系や異世界転生や魔王勇者系作品かな。
 
別に僕だって美少女系作品は好きだし厨二展開も好きだけど、もっといろんな人にアプローチできるような作品も作っていかないとダメだということですよ。
 
ある程度自由に作れるはずの、アニメミライやアニメーター見本市のラインナップも結局はターゲットは同じようにしか見えない。
挑戦的な作品はあるけど、それも結局は既存のアニメファンに向けたものでしかない。
 
初期のアニメーター見本市とか酷かったwww
全部美少女がメインキャラwww
まあ作る方もそういうのが好きっていうのがあるんだろうね。
 
ハリウッドの映画が一大産業になったのは、「アメリカ」という国からの需要に応えたからだよね。
 
国を守る為に国民が一致団結して戦うとか、民主主義を受け入れない国は敵だみたいな描き方をするとか、戦争を美化して描くとか、アメリカンドリームを宣伝するとか。
 
日本のアニメで、ハリウッドの映画並に、「社会」からの需要に応えて作った作品がどれだけあるのかという話です。
顕在化してない需要を汲み取って作品を作り、作品によって需要を作るというのも含めてね。
 
僕の知らないところではそういう作品もあるのかもだけど、そういうのは多分アート寄りな感じになってメジャーにはなれてないんじゃないかな。
エンターテイメントにできてなくて多くの人が見ようと思わないなら、結局は価値が低いということだよね。
 
そこで成功してるのは宮﨑駿ぐらいしかいない。
細田守もいるけど、どんどんテーマが小さくなってしまっていて、普遍化しにくい感じになってる。
次の作品はネームバリューだけで多少は売れても、サマーウォーズを超えることはないと思う。
 
今後日本のアニメ業界が、自分たちの給料や労働環境社会的な地位を良くしたいと思うのなら、これから社会に対して、どれだけの価値を提供できるようになるべきかを考えていくべきだと思う訳です。
 
長くなっちゃったので続きはまた次回ww 
血界戦線―魔封街結社― 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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