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【アニメ業界改善案】原画を少ないカット数担当することで発生する無駄

こんにちは。
ここのところ、アニメ業界には無駄が多過ぎるということを書いてきましたが、まだまだ大量の無駄があります。
 
今回もその無駄の部分について書いていきます。
 

各アニメーターの原画担当カット数が、10カットずつ等と少ない数なこと。

 
テレビアニメは1話あたり、大体300~350カットぐらいあります。
それを制作側がシーンごとに分けます。
例えば、主人公自宅シーン、登校中、学校教室等、美術設定が同じ場所になるように分けて、シーンごとのカット数を出します。
制作進行は、アニメーターとスケジュール、カットの難度、作業速度を相談しながらカット数を決めていきます。
 
最近の作品は、どんどんスケジュールが短くなってきてて、昔は3週間あったレイアウトラフ原期間が、2週間、状況によっては1週間ということも珍しくありません。
そうするとアニメーター側も、安全策として受けるカット数を抑えるようになります。
 
ここでのアニメーターの安全策とは、他のかけもち作品の状況によってすぐに作業に入れないかも知れない、大量に受けてもし納期をこぼすと迷惑をかけ信頼を失うかも知れない、こぼすにしても少数であればかける迷惑は最小限、というようなことが挙げられます。
 
制作側も、その事情は理解していますし、1人に大量に発注して全部こぼされるというリスクよりは、多くのアニメーターに細かく発注して1人あたりのリスクを減らそうとします。
 
株のポートフォリオ型投資みたいな感じ。
 
エンドテロップの「原画」にクレジットされている人数を見れば、どれだけのアニメーターが携わってるか分かります。
 
株だったらリスクを分散するというのは正しいのかもしれませんが、ことアニメの制作においてはここで大量の無駄が発生する原因となっています。
 

アニメーター視点での無駄

 
まず、数種類の作品を同時進行で作業することで、設定の見直しが頻繁に発生します。
 
例えばA,B,Cと3作品を同時に受けていたとして、Aが美少女萌え系、Bがリアル系メカ、Cがデフォルメ系コメディ作品だったりすると、それぞれの作品の作業に入る毎に、設定を見直して絵柄をアジャストしなければなりません。
 
キャラのプロポーションもですが、衣装等は特に面倒です。
世界観の違う作品だと、衣装の構造を理解するのも一手間です。
 
作品ごとに、打ち合わせにも参加しなければなりません。
コンテと設定を読み込んで、芝居プランを考えて、方向性と不明な点を演出に確認するというのは、打ち合わせそのものもですが、準備にかかる時間と手間も相当なものになります。
 
結果、作業の効率も下がるし、作業以外の準備にもそれなりの時間がかかってしまいます。
 
アニメーター側からすると、納期をこぼすリスクを抑える以外に、数多くの制作会社と繋がりを保っておきたいという理由もあります。
1社に集中すると、その会社が突然倒産したり、プロデューサーが変わって突然仕事が無くなったりするリスクが発生します。
 
そのリスクを減らす為の、アニメーター側のポートフォリオ投資という訳です。
 

制作会社視点での無駄

 
次に制作会社側で発生する無駄を考えます。
 
前回も書いたように、参加するアニメーターが多いとその分設定を準備しなければなりません。
 
打ち合わせの段取りもあります。
演出も、その分打ち合わせの回数が増えます。
 
無事打ち合わせが終わって、作業に入ったら、今度は各アニメーターの進捗管理という業務が発生します。
制作進行は、毎日全員に電話をかけて(メールやLINEの人もいる)、状況を確認し、上がりの回収の段取りを組みます。
 
これが10人と、30人ではかかる手間は雲泥の差です。
普通に考えて3倍になってる訳ですからね。
 
制作進行が激務という理由はここにあります。
 
単純に状況の確認と上がりの回収だけだったら究極アルバイトでもできますが(情報管理的に好ましくはないですが)、作業が遅れてればその対策も取らなければなりません。
引き上げて代わりの人を手配するとかですね。
 
アニメーターの数が増えると、制作進行だけでなく、演出の手間も増えます。
 
作業内容の統一感がなくなるので、その調整をしなければなりません。
上手い人とそうじゃない人、設定を間違えて描いてる人、等様々な上がりの調整は、人数が増えれば増えるほど難しくなります。
それは作監も同じですね。
 
演出作監作業に時間がかかると、後半のスケジュールを食いつぶしてしまい、後半バタバタすることになってしまいます。
当初のスタッフ数じゃ足りなくなり、2原を撒いたり、作監を急遽増やしたりですね。
レイアウトの入れが遅れると、背景スタッフも残業を増やして対応しなければなりません。
 
これが結果、労働環境の悪化にも繋がるし、急いで作業したり、緊急参戦スタッフが増えることでのクオリティの低下を防ぐ為に結局余計なコストがかかります。
ラッシュで半分以上のカットがリテイクになることなんか珍しくありません。
リテイクと言っても、完全に描き直しではなく、元の原画に演出作監が修正を加えて、再度動画と仕上げを行うというものが大半ですが。
 
でも、そのリテイク数が10カットでも200カットでも演出作監料金は変わりません。
つまりリテイクが増えれば増えるほど、演出作監の負担が増える仕組みなのです。
 
もちろん制作進行はその管理を行います。
 

システム自体に無駄が蔓延ってる

 
悪循環が悪循環を呼び、どんどん無駄が増えていってる訳です。
 
その結果が、ネットでちょくちょく話題になるアニメ業界の労働環境の悪さです。
クール・ジャパンとか言っても、その実態は全然クールじゃないです。
 
庵野監督が言ってたように、アニメ業界のシステムは本当に破綻していると言ってもいいと思います。
あと5年かは分かりませんが、崩壊するというのも現実味のある話でしょう。
 
中の人は、自分達で少しでも改善していかないと、働いている業界が無くなってしまいます。
 
という危機感が無いのが、実は一番の問題なんでしょうね。