最近、労働環境の改善が叫ばれてるけど、その結果どうなるかっていうのを考えてみた

ライフハック情報が増えた

ここ数年、何だか凄い勢いでライフハック的な情報が溢れてる気がする。
ビジネス・自己啓発本は昔からあったけど、急に増えてきた印象。
ネットでちょっとした情報を簡単に発信できるようになったってことなのかな。
多くの人が仕事や生活の効率を高めたいって思ってて需要があるってことなんだろうね。

ブラック企業という言葉が浸透して、労働環境の改善が謳われるようになった気がする。やったね!

さて、最近はブラック企業っていう言葉も多く目にするようになりました。

元々はネット発の言葉だと思うけど、テレビや雑誌でも使われるようになってきた。
 そのせいか、労働環境改善みたいなことも少しずつ取り上げられ始めてる気がする。
 
この間から通勤中に読んでる本があって、それ見ると労働環境改善というのは一見良いことのように思えるけど実際はどうなんだろうか?と思うようになった。
 
資本家は労働者が作る価値を最大化しようとするらしい。平たく言うとどれだけ沢山お金を稼げるかということ。
今は企業間の競争が激化してきて、これまでと同じだけの稼ぎを得る為には長時間働かなければいけないようになってきてる。売り上げを上げる為に競合よりも、サービスや商品の品質を上げたりということです。
労働者を守る為の決まりはあるけど、これまではあんまり守られていなかった。
企業は法律の抜け道を探すし、国なんかも企業の競争力が落ちるのは嫌だから本気で改善させようとは多分してなかった。労働者も稼ぎを得る為には仕方ないと思いある程度受け入れていた。
それが受容できるレベルを超えてようやく問題として取り上げられるようになったから、ちゃんとルールを守ってもっと労働者を守ろうって話になってきたということなんでしょう。
 
だからこれからは、ちゃんとルールを守ってるかとかそういうのが重視されるようになってくると思う。企業への監視も強くなる。労働時間は守られてるかとか、無理なことをさせていないかとか。
それが守られない企業へは罰則が強化されたりとか。
労働者側に対しても、メディアを使って新しい価値観を植え付けてくるんじゃないかな。定時上がりできるのがカッコイイとか、余暇をもっと楽しもうとかそういう価値観。

労働時間が短くなっても求められる成果は同じなので、生産性を上げなければいけない。

これで、ただ労働時間が短くなれば良いけど、そういう訳にもいかないでしょ。
労働時間を短くされたところで企業は同じだけのアウトプットを要求してくる訳ですよ。
例えば、これまで100の仕事を求められていたとして、Aさんは8時間で可能だけど、Bさんは8時間では80しかできないから残業してやっていたとする。
それがもし残業が禁止になったらBさんは何としてもAさんと同じ生産性にするために努力せざるを得ないよね。
そもそもBさん最初から努力しとけよという話は置いといて。
つまり、労働環境の改善に強制力が発生すると、それは強制的に生産性を高めさせるのとイコールな訳です。
 
これまでは100のアウトプットができなければ、働く時間を増やせばいいやという考えが多分多かった。
企業も労働者側も。残業代が出る出ないとかは別の問題として。
でもこの考え方のままでは問題が起きるようになってしまった。
何か?
少子長高齢化社会で近い将来労働人口が減ってしまう。
それでは資本家は困ります。
これまでと同じ生産性では、労働者が減った分得られる儲けが減ってしまう。
 
じゃあどうするかっていうと、生産効率を上げるしかない。
まずは生産性を上げる為の方法を広く世の中に流しつつ、生産性は高い方が良いという価値観を広めます。
そういった情報への需要が出来た上で、アフィリエイトとかアドセンスで情報を発信することへのインセンティブが発生する仕組みを作ることで、どんどん生産性を上げるライフハック的な情報が拡散していく訳です。
その上で、労働時間を強制的に圧縮して、生産性を高めなければいけない仕組みが完成する訳です。
 
この結果、労働人口が減っても資本家は同じ儲けを得ることができる!
凄い!てな訳です。

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実際、これで多分一定の生産性はアップするでしょう。
多くの人が100の仕事を6時間とかで出来るようになるかも知れない。
でも、じゃあ6時間で帰ろうかってなるかというと多分そうはならない。
何故なら8時間働くのが当然という意識が植え付けられているから。
現在問題になってるのって、12時間とか15時間とかの超長時間労働で、それをちゃんと8時間に収めましょうねってしようとしてる。
この8時間という、時間で区切ってるのがミソです。
生産性を高めて定時で帰りましょうという考え方の記事や意見は見ても、100の仕事をどれだけ早く終わらせて帰るにはどうするか的な記事はほぼ見たことがないです。この前ライフハッカーで週4時間だっけ?しか働かないって人がいたけど、多くの人にとって現実的では無いし、この人は確実にそれ以外の時間も価値創造に繋がる活動をしているはず。それがパーティに参加したりとかで、本人が仕事と括っていないだけでしょう。
 
あくまでも一般的には労働は時間で区切るべきという考え方を植え付けようとしてるということです。
そんな価値観を植え付けられている中で、生産性だけ上げるとどうなるか?
6時間で100の仕事が出来るようになったんなら、8時間働いて133の仕事をしようってなるよね。
そんで133の仕事量をスタンダードということにして、それが世の中に浸透してきた段階で、それが達成できない人は残業してでも133の仕事をしましょうってことになる。
133の仕事をしたところで、会社員である以上もちろん給料は据え置きでしょう。
つまり労働者はどんどん要求されるレベルが上がってくるだけで、メリットは一切ない訳ですよ。
 
もちろん労働環境が改善するのは良いことだけど、もし世の中が本当に上記のような流れになると、より競争が激しくなるだけなので、微妙だよねと思った次第です。
 
ちなみに読んだ本はこれ。キンドルで安かったので買ってみた。

  

図解 資本論

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