ブラック企業はブラック社員が作る!?

企業がブラックになるのは、そこで働く人のせいじゃない?
 
個人と社会の繋がりが希薄だと、人は自分を必要としてくれる場所を欲するものです。
 
特に日本は、昔から私生活を犠牲にしてでも働くのを美徳とする文化。
 
戦時中はお国の為に、戦後も国の復興の為、欧米に負けない豊かな国にする為と、猛烈に働いていました。
アリナミンVなんか「24時間働けますか?」というCMで大ヒットしたし。
 
元々が、会社に入ったら多かれ少なかれ自由になる時間は取れないという共通認識がある。
日本でホワイトとされる企業でも1ヶ月のバカンスを取るヨーロッパの国からみたら、多分超ブラック。
 
学生の学校でのスタンスも違う。
日本は、大学にさえ入ったらそうそう退学になることはないので、多くの人が勉強ではなく、遊びやバイトに重点をおく。
会社入ったら遊ぶ時間が無いから、学生のうちに遊んでおきたいという意識もある。まさに最後の晩餐。
 
欧米は、学生の間は逆にしっかりと勉強する。
遊んでる人もいるかもだけど、知識や技能がないとロクなところに就職できないので、日本ほど勉強の手を抜くことはない。
その代わりに、良い企業に入れれば、給料も良くバケーションも取れるので、学生時代に遊べなかった分を取り戻すことができる。
 
日本は社会の土壌として、学校を卒業した後は人生のほとんどを入った会社の為に過ごさなければいけないという雰囲気がある。
 
さて、そういう前提条件がある中で、入った会社がブラックだったとしましょう。
 
給料が安い、労働時間が長い、休みが少ない。
 
でも、社員の仲が良く、会社の居心地が良ければどうでしょうか?
 
「急成長中の企業です」
「人との繋がりを大切にしています」
「人財育成に努めています」
 
上記を売り文句として、実際その通りになっていると?
 
一人一人に、責任を与えられ、上の人が働きっぷりを見てくれて、悪かった点があれば叱ってくれ、良かった点は褒めてくれる。
 
地方から出てきて、一人暮らしをしてる家に帰っても誰かが待っている訳ではないので、それなら自分のことを必要とされている会社で仕事をしている方が全然良い。
 
しかも大学では遊び呆けてしまったので、会社に入ったからにはちゃんと働かないといけないという思いがある。
大したスキルの無い自分を入社させてくれて、仕事も教えてくれた。
 
実際に会社の業績も上がってきている。
仕事を覚えてきて、会社に業績に貢献できていると思えるようにもなり、周りも評価してくれるようにもなった。
仕事も楽しくなってきたし、会社に恩返しもしたい。
 
これって会社がブラックだと思いますか?
 
もしかしたら早く帰れって言われてるのに、今この仕事を片付けておけば明日が楽だからとか言って自主的に残業してるかも知れない。
 
経営者は、もっと休みを増やしてあげたいと思ってても、働く社員がこんなスタンスだったら、現場はこの社員に合わせて仕事を組み立てるよね。
 
それが慢性化したら、ブラック企業の完成です。
 
つまり、ブラック企業は経営者ではなくブラック社員こそが作るのです! 
ブラック企業は誰がつくる?: ―無知な経営者と狡猾なブラック社員―

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