『君の名は。』感想。非常に完成度は高いけれど、ちょっと物足りない感じ。
試写会にて『君の名は。』見ました。
見に行くべきか迷っている人がいましたら、大手を振って勧めるという訳では無いけれど、面白いし見て損では無いという感じです。
さて、ここからはネタバレ注意でお願いします。
非常に完成度の高い映画
上では煮え切らない感じでの評価ですが、映画自体は全体的に完成度が高く上映中は楽しんで見れました。
毎度のことながら、非常に美しい背景。
さらに今回は、これまで新海作品で弱いと言われていた作画がかなり強化されてます。
作画監督がなんと安藤雅司!
RADWINPSの曲も良かった。
使うタイミングも盛り上がるタイミングで上手くハマってた。
ストーリー的にも、いろんな要素が入ってて、先が気になる展開、適度などんでん返しと、全然退屈しなかった。
全体的にキレイ過ぎる
多分これだけ読むと悪くは無い作品なんだなと考えると思います。
確かに、悪くは無いどころか叩く要素が一切無い素晴らしい作品と言えます。
だから、ここからは完全に僕の個人的な好みの問題です。
全体的にキレイ過ぎるんですよね。
まず登場人物全員が「良い人」。
だってさ、バイト先の美人の先輩が美人なのに性格が良かったり、幼なじみとの三角関係とかもないんですよ。
まあ物語の本筋の部分ではないから良いんだけども。
描写の部分でも、学生なのに金で困ってる様子が全然無い。
毎回そこそこ良い値段がするカフェで飯食ってるとか、歳の差デートで金の心配の描写が無いとか、東京↔長野?間を簡単に新幹線で移動してたり。
バイトしてるってのが、「高校生だからバイトをする」「バイト先の年上の美人のお姉さんへの憧れ」とかって記号的なものにしかなってない。
設定とか物語上の都合が優先で、キャラをリアルに感じる描写が省かれてる印象。
省いたのか初めから無かったのかは分からないけれども。
そんな感じでリアル感を感じられないから、感情移入もできない。
漂白したような不自然なキレイさと言うか、嫌われる要素を極力削ってるような感じ。
でも要所要所では、記号としてでも「嫌な人」とかの描写はあるから、所謂お花畑的なストーリーにはなってないんだよね。
って考えると物凄いバランス感覚なので、やっぱあえて「最近の万人受けする」作品にしてるのかも知れない。
無理してそうしてるんでも無さそうだし、多分新海監督ってやっぱり「綺麗な映像」が好きなんでしょうね。
あとは見る側の好みの問題。
僕的にはもうちょいストーリーやキャラにケレン味が欲しいという感じ。
とは言え、映像的なクオリティもストーリーの完成度も高いので、興味があるなら見ても損にはならないかと。
特にカップルさんとかには良いんじゃないでしょうか。