起きるべくして起きたスタジオジブリ崩壊 アニメ業界のターニングポイント
スタジオジブリがアニメ制作部門を解体するということがニュースになりました。
アニメ業界にいた人間としたら、特に驚くべきことではなく、ついに来るべきときが来たかという感じですわ。
なんでこんな事態に至ったのかというと、真っ当な会社として運営ができていなかったからに他ならないです。
単純に社員が仕事をしていない期間が長過ぎたのと、その間の給料が経費として垂れ流しになってたってだけです。
普通の会社だったら潰れるか、そうでなくとも経営陣の首が片手で足りないぐらいは飛んでもおかしくないでしょう。
まずアニメ業界特有の事情から説明しましょう。
アニメというのは、シナリオができて、シナリオを元に絵コンテを作成します。その作業と平行してキャラクターのデザイン作業をしたりします。
原画を描くアニメーターはコンテを元に、動きを考えて描いていきます。
つまり絵コンテが無いとアニメーターは仕事をしたくてもできない訳です。
そしてシナリオと絵コンテというのは、制作工程において一番クリエイティビティが要求されるセクションなので、どうしても時間がかかってしまいます。絵コンテはその作品の設計図みたいなものなので、それによって作品の良し悪しが決まると言っても過言ではないです。
ここまでがアニメ業界的な事情。
次にジブリ的な事情。
通常ジブリ以外の会社であれば、TVシリーズ作品等常時作品が回っているので、アニメーターの手が長期に渡って空くということはないです。
少しでも暇そうな人がいたら制作は即1カットでも2カットでも描いてもらうようにします。そうしなければ回らないほど制作スケジュールが押してる作品が多いからなんですが。
ところがジブリは自社では劇場しか作ってないし(たまにPV的なものや短編はあっても)、しかもその劇場は基本的に年に1本ほど。
先に挙げた絵コンテ制作の難しさという事情もあり、原画を描くアニメーターの手を空かせないようにするのは非常に難しいです。
さらにもう一個ジブリ的な事情。
スタジオジブリはアニメ業界としては破格の好待遇な会社でした。
フリーが多いアニメ業界において、ジブリはスタッフの多くを社員として雇っていました。
しかも給料や休日、福利厚生なんかも一般の会社並だったと聞きます。
外注への単価も恐らく劇場一というレベルで、単価が高かったです。少なくとも僕の知る限り最高の単価でした。
アニメーターの手が空きがちなシステムのジブリという会社で、高待遇でスタッフを雇い続けるのは非常にリスクが高い経営方法です。
そこに来ての宮崎駿引退と、制作スケジュールの崩壊。
そりゃダメになるわ。
まず元々のビジネスモデルが作った劇場作品がヒットするということを見込んだ体制。
常時莫大な経費を垂れ流しながら作品を作って、ヒットさせて経費を回収して利益を上げようとしてたんだよ。
こういうのを、世間では博打、ギャンブルと言います。
ポスト宮崎駿育てられず?
そんなに簡単に出てこない才能だからこそ、視聴者の心を捉える作品を作れるし世界的にも評価されたんでしょうが。
それを育成に失敗ってwwwバカかとアホかと小一時間ry
宮﨑駿に依存しまくった体制しか作れなかったというか作らなかった経営陣の怠慢でしょう。
宮崎吾朗監督とか米林宏昌監督が、宮﨑駿並の作品を作れなかったせいみたいに見えるけどそうじゃないでしょ。
むしろジブリで絶対ヒットさせなきゃいけないというプレッシャーの中でよくやってたでしょ。
今回のニュースは、何というか古いアニメ業界の体制の崩壊の象徴という感じだよね。
というかこんな体制で成り立ってたのはジブリぐらいだけど。