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元アニメ業界人がSHIROBAKOを見ての感想を書いてみた

SHIROBAKOを見た。
なかなかちゃんと業界のことを描いてる。
スタジオの中の背景美術がリアル過ぎwww
夜の人が少なくなった時の雰囲気とかすごい出てたwww
 
昔はアニメ制作を題材にした作品てくろみちゃんだったのが、これからはSHIROBAKOになるんだろうね。
主人公のスペックが高過ぎる気がするけど、まあそこは物語ゆえのご愛嬌だね。
 
さて、作中劇「えくそだす」の制作現場は、実際のアニメ制作もあんな感じです。
むしろ実際の現場の方がもっと酷いwww
 
作中で「えくそだす」4話の納品と、9話のカッティングが重なっていたけども、実際こんなスムーズに進むことは稀です。
 
凄くスムーズにリテイク出しをやってたけど、あれ多分オールラッシュやってたよね。ちなみにオールラッシュっていうのは、一回作品を完成させてから、みんなで映像をチェックするという作業です。つまり絵が粗い部分があったりはしても、最悪放映できる状態までは持っていってるってこと。
ここ最近は「オール」ラッシュが出来れば超優秀って感覚でしたね。
「オール」にならない、つまり全ての映像が間に合わないので、バラで上がった素材から順にラッシュチェックをしてリテイク出しをするのが当たり前でした。明らかに効率は悪いけど、全部素材が揃ってからだとリテイクで直す時間が無いっていうので、バラバラで随時随時チェックしてるっていう。だからtake1の素材とリテイク済みのtake2、take3の素材が混在しててカオスな状況になりがちなのです。
 
カッティングももっと足りないカットがありましたね。アニメーターの中には、カッティングなんかコンテでいいじゃんという人も多いので、なかなか上げてくれなかったり。実際、カッティングもコンテ素材でやってる作品が多々あるから、それでできるならいいじゃんっていう意識になるんでしょう。
 
若干マイルドな表現になっているとはいえ、でも概ねアニメ業界はああいう雰囲気で間違いは無い。
 
さて、ここでSHIROBAKOを元にアニメ業界の労働環境について見てみましょう。
 
ずっとアニメ業界はブラックだとか言われてますが、そのブラックな状況っていうのを、業界の人は望んでた、少なくとも受け入れてはいたと思う訳です。
 
作中で監督が芝居を変更しようとしたカットがありました。何か美談っぽく描かれてますが、これ実際の現場は溜まったもんじゃないことですよ。
より良いものを作るという点では確かに正しいかも知れませんが、それは時間がある場合です。
作中でも結局朝まで作業をすることになってます。こんなの普通の業界だったらあり得ないことですよ。
それを、作中のキャラはなんだかんだ言いながら、良しとしてる。実際やらなきゃならないのは分かるし、そこに文句を言っても仕方がないし、どうせやるなら気持ち良くする方が現場の雰囲気も良いっていうのも分かります。
ここでのポイントは、納品まで時間が無いにも関わらず、突然の仕様変更をみんなが認めるということです。
 
もう一点。3話でカッティング用の原画(ラフ原)を最後まで引っ張ったアニメーターがいましたよね。自転車が好きっぽい人。ああいう人は本当にザラにいます。特にフリーで自宅作業の人は。
過去に出来たから今回も大丈夫とか言って、結局気分が乗らないとかで当初の納期をこぼしてる。しかもそれを何度もやってる。普通の業界なら二度と仕事なんか貰えないことです。そんな好き勝手やってる人の割りを、制作だったり演出だったり撮影だったりが食ってる訳です。でもまた仕事を出す訳ですよ。
 
こういうことが常態化してて、業界の人はそれが当たり前だと思ってる。むしろギリギリの状態を楽しんでるというか、こういう状態こそクリエイティブな現場だと思ってる節があります。規則正しい生活をしてると良いものが作れないとすら思っている気がする。多分みんなそういうイメージってあるんじゃないかな。クリエイティブ教っていう宗教に洗脳されているようなモンですよ。信者です。
実際綱渡り的な状況って、アドレナリン(ドーパミンだっけ?)は出るし、みんなで協力してるから一体感的なものも感じられるし、お祭りみたいで楽しくはあるんだよね。
 
つまり、なんだかんだ言いながらも、アニメ業界にいる人はブラックと言われる状況を受け入れてる訳なのです。それについて行けない人は去っていくので、残っているのは訓練された信者ですからね。
 
というのを、SHIROBAKOは意識して描いてるのか、天然で描いてるのかどっちなんでしょうね?
コミカルな感じの作品にする予定って、ネットの記事で見たような気がするから、ストーリーがメインていうよりはアニメ業界はこんな感じですっていうのを楽しむ作品なんだろうけど。
ただマイルドに表現しようとしても、客観的に見ると多分ガチブラックな業界だから、見る人はドン引きになるっていう可能性があると思うので、その辺をどうするのかは見ものですね。
 
アニメ業界はこんなだけど楽しいよっていう作品で売り出してるフリをしながら、実際バリバリのブラックじゃねーかっていうのを周知して問題を提起するとかって裏目的があるんだったらなかなか凄いよね。

 

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